GPz750Fカムシャフトについて
ZEP750発売以前から、ザッパー系の車両オーナーの間ではデーター上最強である
GPz750Fのカムシャフトを流用する事は良く行われていた。
では、どの位の効果があるのか? データとして明確な物は最近の雑誌では取り上げられなく
なってしまい、なかなか表に出てこない。
NETで検索してもあまり引っかからないのが現状・・・・!
ヨシムラ製のST−1が廃番になってからオークションでは中古品がかなり高騰してしまっている。
他メーカーやショップオリジナルカムも幾つか発売されてはいるが、王道のヨシムラがやはり人気
なのかもしれない・・・・!
そこで多車種の流用と言うことで、またGPz750Fのカムを注目してみた!
その前にカムシャフトの役目とは何ぞや? と言う事で少し触れておきます。
簡単にエンジンは、燃料を吸いこんで、爆発、排気これの繰り返しです、爆発した力でピストンを
押しクランクシャフトを回し動力になります。
誰でも分かりますが、爆発する力が強い=パワーが出る!
その為には少ない燃料を燃やすよりも、より沢山の燃料を燃やした方が爆発する力も強くなります。
この燃料をどれだけ吸い込むか? がカムシャフトの特製によって大きく左右される訳です。
※画像のカムは多車種の物です。
カムシャフトにはカム山と呼ばれる山が幾つも付いています。この数は入口と出口の役目をする
バルブの数によって変わってきます。
この入口と出口の役目をするバルブをカムが回転しながらカム山で押して開いたり閉じたりを
繰り返す訳です。
良く言われる『ハイカム』と言うのはこのカム山が高いカムの事で、山が高い分バルブの開いている
時間が長いので、燃料を多く吸い込める仕組みです。
高いだけではダメで!『作用角』も重要になってきます、『作用角』とはバルブをカム山が押し始めて
開き、また閉じるまでの時間を角度で表した物で度数が大きい程バルブが開いている時間が長いと言う
事になります。
カムの高さは同じでも、山の肉付きのアールの加減によって『作用角』が変わってきますので、
このカム山の高さと作用角を考慮して考えなくてはなりません。
あとは、ピストンの上下運動に対してバルブを開くタイミングを合わせてやらないとカムの性能は
フルに発揮出来ません!
この辺はもうプロの領域ですね(^_^;) トルク重視にするか、パワー重視にするか等、チューナーの
匙加減で変わって来ます! 高価な社外カムを生かすも殺すもこのバルブタイミングの設定次第です。
では私の調べた範囲でしか紹介出来ないのが残念ですが参考になればと思い表にしてみました。
作用角 | カム山 | |
ZEP750用ヨシムラST-1 | IN側245度 EX側240度 | 表の中では一番高いのはやはりヨシムラST-1! H37.15 W28.20 因みにバルブのリフト量としてはカタログ上9_である。 |
GPz750F輸出用 (A1〜A3) |
IN側286度 EX側286度 | 中心からの高さは国内仕様と同じだがカム山のアンダー部分の形状が 若干違う事が判明。国内仕様よりアンダー部分を低くし、シムを厚くする事で リフト量を稼ぐ事を狙ったようだ! 作用角は群を抜いている。 データー上、輸出国で1〜2馬力の若干のパワーの差があるのは、各国の 規制に合わせキャブセッティングやマフラーが違うからで、A1〜A3まで同じ! |
GPz750turbo | IN側254度 EX側260度 | 不明 |
GPz750F国内(A2) | IN側275度 EX側275度 | A1よりは少し高いがZEP750とヨシムラST-1の中間強の高さ H36.77 W28.24 |
GPz750国内(A1) | IN側270度 EX側270度 | Z750FX-U〜GPz750(A1)までは高さは同じでZEP750とST-1のほぼ中間 |
ZEP750 | 不明 | この表の中で一番低いのがやはりZEP750! H36.24 W28.14 |
ZEP750とGPz750F(国内仕様)のカム山の差は『高さで0.53』『幅で0.10』GPz750Fの方がハイカムである!
作用角に関しての差は不明だが、ZEP750のノーマルエンジンにGPz750Fのカムを使うのは低速トルクを損なわない
程度のプロファイルで有効かもしれない。
輸出用のフルパワー仕様のカムを組む場合は強化スプリングにする可能性も出てくるのでこちらはプロに相談した方が
良いかもしれない!
サービスマニュアル上では、バルタイはZ650と750turboが同じで、Z750FX-U~国内仕様のA1までが同じ
国内仕様のA2と輸出用フルパワー車A1〜A3もバルタイはそれぞれ違い、ZEP750も違う。
カムスプロケに関してはZ650後期型〜ZEP750まで全て共通だが、国内仕様のA1と輸出仕様のフルパワー車では
バルタイが開も閉も8度も差が有る、5度以内ならギリギリのラインのようだが8度となると?マークが出てしまう!
もしかすると輸出用のフルパワー車には専用のカムスプロケがあるのかもしれない・・・・・。
どのカムを使うにしろベストを狙いたいならカムスプロケを長穴加工してキッチリ合わせる事が有効!
因みにレースでの使用率の高い「WEB COM製 ST-2」のデーターは下記の通りである!
WEB CAM 製 ST-2 | IN側284度 EX側284度 | 高さは不明だが、バルブのリフト量は10_で、ヨシムラST-1より1_高い! |
いずれにしてもGPz750シリーズには4種類のカムが存在し、どれもがZEP750よりもハイカムで有る事は間違いない。
つい昨年(2010年)までは発売されていたヨシムラ製ST-1が社外品カムの王道で有ることは言うまでもないが・・・
その前はZEP750用モリワキ製ST-1も存在していた、今となっては幻品だがこちらのプロファイルも気になる!
モリワキと同じプロファイルで造られたカムが13万位で今ネットで販売されているが・・・
もし詳細データが入手できたら紹介したい。
※文中のバルブのリフト量とカム山の高さとは別物です。ここで言うカム山の高さとは山の下面から上面までの寸法の事で
リフト量とは、バルブを何ミリ押し上げるかの量の事ですのでお間違えなく!
※表中のカム山の計測データは、簡易計測なので正確ではありません!