クランクケース減圧バルブについて

現在二輪業界で流行っているクランクケース減圧バルブ。
自然落下ボール式、バネ入りボール式、リードバルブ式と機構は様々ですが機能はどれも同じ
所謂一方通行のワンウェイバルブの事ですね!

狙いは、この類のバルブをブローバイホースの間に入れクランクケース内の
ブローバイガス
出る方向に一方通行にし、
内圧を下げてクランクの回転やピストンの上下運動の抵抗を減らし
レスポンスを上げよう
と言うパーツだ!
この
ブローバイガスとは不完全燃焼ガスの事で、とても有害でこのガスには僅かながらに水分も
含んでおり、この
不完全燃焼ガスがオイルに溶け込みオイルの劣化を進めるのである。

通常はクランクケースからエアクリーナーBOXに配管されておりクランクケース内に溜まった
ブローバイガスは再びエアークリーナーBOXに戻され再燃焼され、大気に放出される事は無い。
しかし、キャブレターをレーシングキャブレターに変更している場合、エアークリーナーB0Xを
取り外している場合が多く、ブローバイ配管はオイルキャッチタンクに配管されているものの
最終的なブローバイガスの行き先は残念ながら大気開放となってしまう!
ブローバイガスが出るからオイルキャッチタンクを付けなくてはならないと思っている方も多い
様ですが、このオイルキャッチタンクの本来の目的は名前の通り転倒時のオイルの流出を防ぐ為の
オイルキャッチなのである。

通常は大気圧とクランクケース内圧は僅かにクランクケース内圧が低いものの同じ位で、一方通行
ではない為エアークリーナーから綺麗な大気もクランクケース内へ入り循環されています。
これを一方通行にしてしまうと循環されなくなりますので
オイルの劣化も進み易いです!

ここで本題の減圧バルブを取り付けた場合ですが、クランクケース内圧はブローバイガスが
一方通行に抜ける一方ですので、内圧は下がります。
恐らく各メーカーの謳っている効果は出ているのだとは思いますが・・・
良い事ばかりではなかったのです。
K.L.Z.C内の事例ですと今の所、私ともう一台のZEP750だけですが、減圧バルブを付けた事により
オイル漏れを起こしました・・・・
私の付けていたのは外国二輪メーカー純正品、もう一台が付けていたのは国内パーツメーカーの
リードバルブ式ダブルタイプ。
私のは
ポイントカバー内のプレッシャーゲージ部パッキンからのオイル漏れを起こし、
もう一台は
ポイントカバー内とダイナモカバー内からオイル漏れを起こしました。
これは、
内圧が下がった状態が続いた事により、クランクケースの合わせ面等のガスケット類が
内側に引っ張られ
、そこからオイル漏れを起こしたのです!
膨らんだビニール袋を口で吸い続けた場合、空気が無くなっても吸い続ければ最後にはビニール袋
が口の中に入って来てしまいます、これと同じ現象です。

減圧バルブを
取り外すとオイル漏れはピタリと止まりましたので、この減圧バルブに起因してる
事は間違いありません。



メーカーはクランクケース内圧を計算して設計してますので、減圧した事を想定していないし
それに見合ったガスケット類を設定してはいません。
これは勿論各車両の個体差は大きいとは思いますので、全ての車両では無い事を付け加えます
もしガスケットの弱い部分があれば、そこから同じ症状になる可能性はあると思います!
単気筒車やツイン等では、メーカー純正で減圧バルブが付いている物もありますが、
こう言った車両は、減圧状態を考慮したクランクケースの設計になっている筈です。

それともう一つ怖いのが、クランクケースの内圧が下がり
真空状態に近くなると、オイルポンプが
オイルを吸い憎く
なります。
そうすると
エアー噛みを起こしやすくなります、強いてはオイルの循環異常を起こしヘッド廻りに
カジリ等の弊害が起きる可能性が出てきます!
特にZEP750はオイルポンプの容量が小さいと言われています・・・・
後は逆にメンテナンス不足による
詰まりや、結露による凍結等でバルブが機能しなくなった場合は
クランクケース内にブローバイガスがパンパンに溜まり
ガスケットが抜けてしまう等の弊害が出ます、
これは4輪で実際に事例が有った様です!

実際に取り付けるとエンジンの吹け上がりの良さやエンジンブレーキの軽減も体感出来ますし、
効果も得られやすいパーツだけに人気も有りますが・・・・・

実際にオイル漏れの事例が2件あった事だけは事実ですので、考える事は必要かと思います。